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入試情報最前線
高等部 廣瀬
大学入試情報
大学入試最前線2023春
◎今年の共通テストをめぐるニュース
1月14、15日に大学入学共通テストが実施されました。センター試験から現行のシステムに移行し、今回で3回目になります。試験直後から、世界史Bや生物で漢字の誤りが判明し、正解を修正することになり話題になりました。1月20日には理科の平均点が物理(63.39点)と生物(39.74点)で20点以上の差があったため得点調整の実施が決定され、生物と化学の点数が上がることになりました。大学入試センター発表の得点換算表によると、生物の素点が39点だった場合は50点に調整され、化学の素点が48点だった場合は55点に調整されます。得点調整は2年ぶりで、共通1次試験時代を含めて5回目となります。また、コロナ禍での実施ということもあり追試験(1月28日と29日に実施)の受験者数も大幅に増え、前年度よりも2,233人多い3,893人でした。
◎落ち着いて事態を受け止めた塾生たち
上記のように万事快調に首尾よく終えたとは言えないものの、数学の平均点が大きく下がった昨年と比べると受験生の混乱は少ないようで、高等部の生徒たちも淡々と私立大学の一般入試や国公立大学の2次試験に向けて切り替えることができました。
◎受験生の動向
全国的に見ると現役生は微減しています。少子化の影響で高等学校の新規卒業見込み者が減少していることを反映する形となっています。現役志願率(今年3月の高等学校卒業見込者のうち大学共通テストに出願した者の割合)は前年と同じ45.1%でした。既卒生は5%以上減少しており、全国的な現役志向が確認できます。奈良県に限ると、現役生の数と現役志願率(44.4%)は前年度より減少していますが、既卒生の数はあまり変わっていません。国公立志向と地元志向が根強く志望校にこだわる受験生が多いことが一因ではないかというのが、現場での感覚に近いように思います。
◎各教科の平均点
昨年は数学1A,2Bが難化し、どちらも50点を割り込みました(1A:37.96、2B:43.06)が、今年はどちらも60点前後に戻ったため大きな混乱はありませんでした。入手できる演習問題の数も増えてきたため、日頃の学習の成果がしっかり反映されるテストになったのではないでしょうか。一方で、英語リーディングは難化し8点ほど平均点が下がりました。80分の試験時間で約6000語を読むという設定は昨年と同程度でしたが、複数の情報源から要点を掴むだけでなく細部まで精読しないと判断の根拠が見つけにくい設問もあり、受験生に取ってはハードな内容でした。この傾向は今後も継続しそうです。
◎共通テストが求める「思考力」を身につけるには
3回目ということで、共通テストが求める「思考力」についても明瞭になってきた感があります。知識偏重からの脱却とはよく言われますが、基礎知識がない所に思考力は育ちません。今回の日本史Bの問題でも日本と隣国の関係についての基礎知識を前提にそれをどのように結びつけるかが問われる設問がありました。また英語でも必要以上に難しい語彙は出題されませんでした。小中高を通じて習得した基礎知識を正確にそして迅速に運用できることが大切です。そのための「思考力」には、良質な問題をじっくり考えて解くという演習の経験が必要になります。サボらずにコツコツ学習するという姿勢はいつの時代も遠回りなようで結局近道なのかもしれません。